はじめに

「人口が少ない自治体はDXが遅れている」──そんなイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかしデータを見ると、人口5万人以下の小規模自治体の中にも、全国上位に入るDXスコアを達成しているケースが多数あります。

本コラムでは、人口5万人以下の1,214自治体を対象に、DXスコアTOP50をランキング形式で紹介します。さらに、人口1万人以下の自治体に絞ったサブランキングもお届けします。

データ概要

人口5万人以下の自治体は全国に1,214団体あり、全体の約70%を占めます。平均DXスコアは47.4点で、全体平均53.1点を5.7ポイント下回ります。

一方で、DXスコア70点以上を達成している小規模自治体は99団体あります。1位の山梨市(山梨県)はDXスコア91.7点で、全国順位でも4位に位置しています。

人口5万人以下で最高スコアは山梨市の91.7点(人口33,435人)。小規模でも大都市に匹敵するDX推進が可能であることを示しています。

人口5万人以下 DXスコアTOP50

順位自治体都道府県DXスコア人口財政力指数
1山梨市山梨県91.733,4350.42
2志布志市鹿児島県84.229,3290.38
3牧之原市静岡県83.843,5020.77
4瀬戸内市岡山県83.736,0480.57
5下諏訪町長野県82.019,1550.56
6愛荘町滋賀県81.620,8930.59
7恵那市岐阜県81.247,7740.45
8上天草市熊本県81.224,5630.25
9下呂市岐阜県81.030,4280.33
10郡上市岐阜県81.038,9970.32
11臼杵市大分県80.336,1580.38
12熊取町大阪府79.843,7630.58
13養老町岐阜県79.726,8820.61
14軽井沢町長野県79.619,1881.61
15大田市島根県79.232,8460.28
16内灘町石川県78.826,5740.52
17早島町岡山県78.512,3680.71
18北杜市山梨県77.844,0530.42
19江津市島根県77.722,9590.34
20白石町佐賀県77.622,0510.34
21豊山町愛知県77.615,6131.12
22魚津市富山県77.440,5350.68
23東浦町愛知県77.349,5960.93
24宇陀市奈良県77.228,1210.28
25海津市岐阜県77.232,7350.48
26鏡野町岡山県77.112,0620.30
27神石高原町広島県76.78,2500.21
28飛騨市岐阜県76.122,5380.32
29十島村鹿児島県76.07400.07
30洲本市兵庫県76.041,2360.48
31長門市山口県76.032,5190.33
32壬生町栃木県75.839,4740.82
33阿見町茨城県75.848,5530.91
34津幡町石川県75.736,9570.56
35瑞穂町東京都75.631,7651.00
36幸田町愛知県75.542,4491.11
37庄原市広島県75.333,6330.26
38氷見市富山県75.343,9500.47
39井原市岡山県75.338,3840.41
40大野市福井県74.731,2860.41
41海田町広島県74.729,6360.79
42宇土市熊本県74.536,1220.53
43川西町奈良県74.58,1670.46
44江田島市広島県74.321,9300.30
45牟岐町徳島県74.33,7430.16
46山県市岐阜県74.225,2800.40
47見附市新潟県74.139,2370.57
48みやま市福岡県74.135,8610.42
49御坊市和歌山県73.923,4810.52
50嬉野市佐賀県73.825,8480.37

人口1万人以下 DXスコアTOP20

さらに対象を人口1万人以下の529自治体に絞りました。平均DXスコアは39.8点で、全体平均を13.3ポイント下回りますが、70点以上を達成している自治体は10団体あります。

順位自治体都道府県DXスコア人口財政力指数
1神石高原町広島県76.78,2500.21
2十島村鹿児島県76.07400.07
3川西町奈良県74.58,1670.46
4牟岐町徳島県74.33,7430.16
5奈義町岡山県72.25,5780.32
6中井町神奈川県71.99,3000.97
7美波町徳島県71.26,2220.16
8紀美野町和歌山県71.18,2560.22
9苓北町熊本県70.57,1140.45
10美里町熊本県70.09,3920.24
11海陽町徳島県69.58,3580.19
12川根本町静岡県69.26,2060.34
13宮田村長野県69.28,5690.49
14伊方町愛媛県68.78,3970.49
15小国町熊本県68.56,5900.24
16多良間村沖縄県67.51,0580.11
17那賀町徳島県67.37,3670.19
18阿智村長野県66.76,0680.24
19玉東町熊本県66.25,0450.31
20喜界町鹿児島県65.86,6290.16

小規模自治体ならではの強み・弱み

人口5万人以下の自治体全体と、全国平均をカテゴリ別に比較しました。

カテゴリ5万人以下平均全国平均
DX推進体制50.357.1-6.8
AI/RPA/テレワーク36.249.8-13.6
マイナンバーカード81.581.5-0.0
32手続オンライン化26.932.9-6.0
オンライン利用率49.750.3-0.6

小規模自治体の強みはマイナンバーカード(-0.0pt)です。マイナンバーカードの普及率が高い点は、住民との距離が近い地域ならではの特長です。

一方、弱みはAI/RPA/テレワーク(-13.6pt)です。AI・RPAの導入はIT人材やシステム投資が必要なため、小規模自治体には導入のハードルが高い傾向があります。

「小さいからこそ機動力がある」事例

ランキング上位の小規模自治体を見ると、共通する成功パターンがあります。

1. 意思決定の速さ:組織が小さいぶん、首長のリーダーシップが直接現場に届きやすく、DX施策の導入判断が迅速に行われます。大規模自治体のような部門間調整のコストが低いことが利点です。

2. 全職員へのDX研修の浸透:職員数が少ないため、全員を対象としたDX研修が実施しやすく、組織全体のデジタルリテラシーが底上げされています。

3. マイナンバーカード普及率の高さ:人口が少ない地域では住民との接点が密で、窓口での声かけなどによりカード取得率が高くなる傾向があります。上位50自治体の平均マイナンバー保有率は83.0点と高水準です。

小規模自治体ならではの強みを活かしたDX推進は、「大きい自治体が有利」という常識を覆す好例です。