はじめに

自治体のDX推進は年々加速しています。本コラムでは、総務省の令和5年度調査と令和6年度調査のデータを比較し、1年間でDXスコアがどれだけ伸びたかをランキング形式で紹介します。急成長した自治体は何が変わったのか、カテゴリ別の分析から読み解きます。

全体の傾向

全199自治体のうち、スコアが上昇した自治体は147団体(74%)、低下した自治体は48団体(24%)、変化なしは4団体でした。全体平均の変化は+6.0点です。

トップの金沢市(石川県)は、R5の46.5点からR6の78.1点へと+31.6点の大幅な伸びを記録しました。

1年間でスコアが上昇した自治体は147団体(74%)。全体平均は+6.0点と上昇傾向にあります。

DXスコア伸び率TOP20

順位自治体都道府県R6スコアR5スコア変化
1金沢市石川県78.146.5+31.6
2各務原市岐阜県83.654.4+29.2
3倉敷市岡山県76.047.4+28.6
4焼津市静岡県81.756.1+25.6
5春日井市愛知県79.254.5+24.7
6呉市広島県82.558.2+24.3
7鈴鹿市三重県75.952.3+23.6
8宮崎市宮崎県85.462.5+22.9
9富山市富山県79.257.5+21.7
10京都市京都府87.267.5+19.7
11多摩市東京都80.361.0+19.3
12花巻市岩手県68.749.6+19.1
13和歌山市和歌山県70.351.3+19.0
14八代市熊本県74.255.8+18.4
15上越市新潟県82.363.9+18.4
16松江市島根県81.563.2+18.3
17佐世保市長崎県85.467.2+18.2
18岡崎市愛知県83.365.1+18.2
19岡山市岡山県87.969.8+18.1
20八尾市大阪府82.063.9+18.1

伸びた自治体の共通パターン:どのカテゴリが上昇したか

TOP20の各カテゴリの平均変化量を見ると、最も大きく上昇しているのはオンライン利用率(平均+77.2pt)です。

カテゴリ別の平均変化:

急成長した自治体は、単一のカテゴリだけでなく複数分野にまたがる取り組みを同時に進めている点が特徴的です。特に、DX推進体制の一斉整備(CIO任命、外部人材登用、全庁推進方針策定)とオンライン利用率の向上が、スコア大幅上昇の主要因と考えられます。

カテゴリ別 伸び率ランキング

総合スコアだけでなく、5つの個別カテゴリそれぞれで最も伸びた自治体を紹介します。

DX推進体制 伸び率TOP5

順位自治体都道府県R6スコア変化
1花巻市岩手県100.0+71.4
2金沢市石川県57.1+57.1
3各務原市岐阜県85.7+42.8
4鈴鹿市三重県85.7+28.6
5宮崎市宮崎県85.7+28.6

AI/RPA/テレワーク 伸び率TOP5

順位自治体都道府県R6スコア変化
1北広島市北海道83.3+50.0
2焼津市静岡県66.7+33.4
3倉敷市岡山県83.3+33.3
4北見市北海道83.3+33.3
5柏市千葉県83.3+33.3

マイナンバーカード 伸び率TOP5

順位自治体都道府県R6スコア変化
1甲府市山梨県82.8+10.8
2沖縄市沖縄県71.4+10.4
3うるま市沖縄県71.3+10.3
4小山市栃木県84.3+10.3
5塩尻市長野県81.1+10.1

32手続オンライン化 伸び率TOP5

順位自治体都道府県R6スコア変化
1金沢市石川県57.0+0.0
2各務原市岐阜県48.0+0.0
3倉敷市岡山県46.0+0.0
4焼津市静岡県52.0+0.0
5春日井市愛知県45.0+0.0

オンライン利用率 伸び率TOP5

順位自治体都道府県R6スコア変化
1上田市長野県100.0+91.8
2和歌山市和歌山県100.0+90.1
3焼津市静岡県100.0+89.1
4都城市宮崎県100.0+89.0
5各務原市岐阜県100.0+87.4

逆に大きく下がった自治体の傾向

スコアが最も低下した自治体も確認しておきます。以下はDXスコア低下幅ワースト10です。

順位自治体都道府県R6スコアR5スコア変化
1塩尻市長野県58.276.6-18.4
2今治市愛媛県53.866.6-12.8
3白山市石川県57.967.3-9.4
4丸亀市香川県46.554.1-7.6
5藤沢市神奈川県68.375.4-7.1
6富士市静岡県59.766.8-7.1
7台東区東京都57.063.7-6.7
8松本市長野県62.468.8-6.4
9東久留米市東京都71.777.9-6.2
10立川市東京都66.572.7-6.2

低下が大きかった自治体では、最も大きく下がったカテゴリはオンライン利用率(平均-30.0pt)でした。調査基準の変更やオンライン利用率の一時的な低下など、さまざまな要因が考えられます。DXスコアの変化は一時的な場合もあるため、中長期的なトレンドと合わせて見ることが重要です。

まとめ

DXスコアが大きく伸びた自治体に共通するのは、「仕組みを作る」だけでなく「使われる」段階に進んだことです。オンライン申請の仕組みを整えた上で住民への周知・啓発を強化し、実際の利用率を大幅に向上させたケースが目立ちます。また、DX推進体制を一気に整備した自治体も多く、組織的なコミットメントの重要性が示されています。