長野県のDX推進状況:全国36位の現状分析

長野県の自治体DX総合スコアは48.8点で、全国36位/47都道府県という結果となっています。全国平均の54.5点を5.7点下回り、全国的に見ても中位レベルの位置付けです。県内77市区町村のDXスコアは平均48.8点と、全国市区町村平均の53.1点より劣位にあります。

特に注目すべきは、県内のスコア格差の大きさです。最高スコアの下諏訪町(82.0点)と最低スコアの大鹿村(17.3点)の差は64.7点に達しており、自治体規模や地理的条件による大きなDX格差が存在しています。

長野県DX総合スコア:48.8点(全国36位/47都道府県)
全国平均比:-5.7点
県内市区町村数:77(全国WORST100入り:8自治体)

県内市区町村DXランキングTOP5

長野県内でDX推進が最も進んでいる5つの自治体をご紹介します。

順位 自治体名 総合スコア 全国順位 人口 特徴
1位 下諏訪町 82.0点 全国50位 19,155人 AI/RPA・オンライン利用率で満点、推進体制が充実
2位 上田市 80.0点 全国90位 154,055人 DX推進体制が満点、手続オンライン化で48.0点
3位 軽井沢町 79.6点 全国94位 19,188人 AI/RPA活用で83.3点、オンライン利用率100.0点
4位 飯田市 73.4点 全国197位 98,164人 手続オンライン化で52.0点、オンライン利用率100.0点
5位 辰野町 72.2点 全国222位 18,555人 DX推進体制と手続オンライン化で高スコア

下諏訪町は全国50位という優秀な成績を収めており、特にAI・RPA・テレワーク分野で100.0点の満点を達成しています。また、オンライン利用率も100.0点と、住民のデジタルサービス利用が定着していることが伺えます。上田市は県内最大規模の自治体であり、DX推進体制で満点を獲得し、組織的な取り組みが評価されています。

軽井沢町飯田市も全国TOP200圏内に位置する優良自治体です。軽井沢町は観光地としての特性を活かしたDX推進、飯田市は南信州地域の拠点としての位置付けを反映した施策展開が進んでいます。

DX推進が遅れている自治体の課題

一方、県内には深刻なDX遅れに直面する自治体も存在します。最もスコアが低い大鹿村(17.3点)をはじめ、北相木村(21.1点)、南木曽町(22.5点)などが全国WORST100に入っています。

大鹿村は人口1,023人の小規模自治体で、AI/RPA/テレワーク分野で0.0点、32手続オンライン化でも5.0点に留まっています。北相木村(人口752人)も同様にAI/RPA分野で取り組みが全く進んでおらず、オンライン利用率も2.4点と極めて低い状況です。

県内DXスコアが低い自治体の共通課題:
・人口規模が小さい(1,000~4,000人程度)
・AI/RPA/テレワーク分野で0.0点
・32手続のオンライン化率が5~25%程度
・オンライン利用率が2~7%と極めて低い

これらの自治体が抱える課題は、主に人員不足と予算不足です。小規模自治体ではDX推進に専任できる職員の確保が困難で、既存業務の傍ら限定的な取り組みを行うしかない現状があります。また、DXシステム導入には相応の初期投資が必要となるため、財政基盤の弱い自治体では導入が後回しになる傾向が強いです。

長野県のDX格差が生まれる背景と地域特性

長野県内でこれほど大きなDX格差が生まれている背景には、複数の要因があります。

第一に、自治体規模による資源格差です。上田市(人口154,055人)や飯田市(人口98,164人)といった中核市は、専門部門やDX推進課を設置でき、継続的な取り組みが可能です。一方、人口1,000人前後の村では、DX推進の優先度が低下せざるを得ません。

第二に、地理的・経済的特性の差異です。下諏訪町軽井沢町は観光地として、また上田市は信州大学など高等教育機関を擁する都市として、デジタル化の必要性と実現可能性が高い環境にあります。対して、山間部の小規模自治体では、住民のオンラインサービス利用ニーズが限定的で、投資対効果が見込みづらくなっています。

第三に、先進自治体による波及効果が十分に機能していない点も指摘されます。県内TOP5の自治体での成功事例が、他の自治体に十分共有されていないため、学習・転用の機会が失われています。

なお、県全体ではマイナンバーカード普及率が80.0点と全国平均の82.0点に近い水準を保っており、この分野での取り組みは比較的良好です。しかし、AI/RPA/テレワーク分野は37.7点(全国平均52.4点)、32手続オンライン化は25.9点(全国平均33.2点)と、業務効率化やサービス提供方法の改革では全国に大きく遅れています。

今後の展望と課題解決の方向性

長野県がDX推進で全国平均に到達するには、小規模自治体への支援強化が不可欠です。県が主導する広域的なシステム構築や、複数自治体による共同利用モデルの推進が有効な解決策として考えられます。

また、下諏訪町上田市といった先進自治体の事例を県内全域で共有し、導入しやすいテンプレートやガイドラインの整備も急務です。加えて、住民向けのデジタルリテラシー向上施策により、オンライン利用率の底上げを進める必要があります。

長野県内のDX格差の詳細な分析と、各市区町村の具体的なスコア・特徴については、県内市区町村別の専門ページをご参照ください。

データ出典:総務省 令和6年度調査(地域スコア集計)