神奈川県のDX推進状況|全国7位の実力を詳しく解説

神奈川県は、自治体DXの推進で全国トップクラスの実績を上げています。総務省の調査による総合スコアは62.6点で、全国47都道府県中7位にランクインしており、全国都道府県平均の54.5点を大きく上回っています。

特に注目すべきは、5つの評価カテゴリにおける県の強みです。マイナンバーカード関連では80.6点と全国平均82.0点に接近し、AI/RPA/テレワークの推進でも65.2点と全国平均52.4点を遥かに上回るなど、デジタル技術の導入において先進的な取り組みが展開されています。一方、32手続のオンライン化では46.2点に留まり、全国平均33.2点を上回るものの、今後の改善の余地が残されていることが課題です。

神奈川県の総合スコア:62.6点(全国7位)
全国平均との差:+8.1点 | 県内市区町村平均:62.6点(全国市区町村平均:53.1点)

県内市区町村TOP5|横浜市が全国5位で圧倒

神奈川県内33の市区町村におけるDXスコアは、大都市と小規模自治体の間で大きな格差が存在しています。最高スコアは91.6点、最低スコアは32.2点で、その差は59.4点に達しており、DX推進の進捗状況が自治体によって大きく異なることを示しています。

以下は、県内でDX推進が最も進んでいるTOP5の自治体です。

順位 自治体名 DXスコア 全国順位 人口 DX推進体制 AI/RPA/テレワーク マイナンバーカード 32手続オンライン化 オンライン利用率
1位 横浜市 91.6 全国5位 3,777,491 100.0 100.0 81.1 72.0 100.0
2位 横須賀市 82.4 全国46位 388,078 71.4 100.0 79.9 63.0 100.0
3位 川崎市 81.9 全国51位 1,538,262 71.4 100.0 80.4 60.0 100.0
4位 伊勢原市 81.1 全国66位 101,780 85.7 100.0 80.7 38.0 100.0
5位 綾瀬市 78.4 全国109位 83,913 57.1 100.0 80.9 60.0 100.0

横浜市は、県内はおろか全国でも5位という傑出した成績を収めており、DX推進体制とAI/RPA/テレワーク、オンライン利用率のすべてで満点の100.0点を達成しています。365万人を超える人口を抱える大都市でありながら、こうした高いスコアを実現しているのは、組織的なDX推進体制と継続的な投資が実施されていることを意味しています。

横須賀市川崎市も同様に、AI/RPA/テレワークとオンライン利用率で100.0点を達成しており、デジタル技術の職場への浸透が進んでいます。一方、伊勢原市は10万人弱の人口規模ながら81.1点という高スコアを記録しており、小規模自治体でもDX推進が十分可能であることを示す好例です。ただし、伊勢原市は32手続のオンライン化で38.0点と、他の指標に比べて低い傾向が見られます。

県内でDXが遅れている自治体の課題

神奈川県内には、依然としてDXの推進が遅れている自治体が存在します。最もスコアが低い自治体について、その実状と課題を紹介します。

真鶴町(スコア32.2点、全国1523位)は、県内33自治体の中で最も低いスコアにとどまっています。特に深刻なのはAI/RPA/テレワークで16.7点、32手続のオンライン化で12.0点、そしてオンライン利用率が0.0点という状況です。人口6,722人の小規模町村であり、DX推進の専門人材やリソース不足が課題と考えられます。

松田町(スコア38.3点、全国1373位)もまた、AI/RPA/テレワークが33.3点、32手続のオンライン化が30.0点と低水準です。一方でマイナンバーカードは82.2点と比較的高いスコアを記録しており、国主導の施策には対応するものの、独自のDX推進は進みにくい状況が窺えます。

逗子市(スコア45.8点、全国1144位)も課題を抱えており、AI/RPA/テレワークが16.7点、オンライン利用率が15.6点と顕著に低いスコアとなっています。

県内で全国WORST100に入る自治体はないものの、県内最下位の真鶴町と最上位の横浜市との差は59.4点に及んでおり、地域間の格差是正が重要な課題です。

考察|なぜこのような格差が生まれているのか

神奈川県内におけるDXスコアの大きな格差には、複数の背景要因があります。

第一に、人口規模と財政基盤の差異が大きな影響を及ぼしています。横浜市川崎市のような大都市は、DX専門部門を設置し、専従職員を配置できる財政的余裕があります。一方、人口1万人以下の小規模町村では、DX担当職員が他業務と兼務しているケースが多く、継続的な投資が困難です。

第二に、産業構造とデジタル化への必要性の認識差です。横浜市周辺は大手企業や金融機関の本社が集中し、高度なデジタル人材が豊富に存在しています。こうした環境では、民間企業との連携やリソース共有が容易であり、DX推進が加速します。対照的に、山間部や沿海部の小規模自治体では、デジタル化の必要性が相対的に低いと判断されることもあり、積極的な投資が行われにくい傾向があります。

第三に、国庫補助金や県サポート体制への依存度の差も重要な要素です。マイナンバーカード関連では、全国的に80点前後で揃っているのに対し、独自のオンライン化推進では自治体の主体性が問われるため、スコア差が大きく開いています。

神奈川県全体が全国7位という高順位にある一方で、県内の市区町村レベルでは、大都市と小規模自治体の二極化が進んでいる状況が浮き彫りになっています。県内4自治体が全国TOP100に入る一方で、最下位との差が59.4点に達するという事実は、DX推進の「標準化」と「支援体制の強化」が重要な課題であることを示唆しています。

まとめ

神奈川県のDX推進は、全国7位という高い水準にあり、特に大都市である横浜市が全国5位の成績を上げていることは高く評価できます。しかし同時に、県内での自治体間の格差が59.4点という大きな幅で存在していることは、今後の重要な課題です。

小規模自治体のDX推進を支援するためには、県レベルでの人材育成・研修プログラムの充実、共通システムの構築・共有、地域情報化の推進などが求められています。また、民間企業とのパートナーシップや国の補助金制度をより活用することで、資源が限定的な自治体でも着実なDX推進が可能になると考えられます。

神奈川県内すべての市区町村がDXの恩恵を受けられるよう、全庁を挙げた取り組みが期待されています。

データ出典:総務省 令和6年度調査(地域スコア集計)
関連情報:神奈川県内の市区町村別DXスコア詳細については、神奈川県市区町村DXスコア一覧ページをご参照ください。市町村ごとの詳しい分析データと改善事例をご覧いただけます。