千葉県のDX総合スコアと全国における位置付け
千葉県の自治体DX推進状況を総合的に評価した「DX総合スコア」は54.2点で、全国47都道府県中25位に位置しています。全国平均の54.5点と比較すると、わずかに下回る水準となっており、全国中位レベルでの推移が続いている状況です。
県内54の市区町村を対象とした調査では、平均スコアが54.2点で全国市区町村平均の53.1点を上回っており、県全体としては一定の水準を保っています。しかし、最高スコア78.3点と最低スコア30.7点の間に47.6点という大きな格差が生じており、自治体間のDX推進状況に顕著なばらつきが見られます。
DX推進体制56.6点、AI/RPA/テレワーク49.4点、マイナンバーカード81.3点、32手続オンライン化41.2点、オンライン利用率48.8点
千葉県内市区町村DXスコアTOP5
県内でDX推進を先導する自治体の概況です。以下の表は、千葉県内でDXスコアが最も高い上位5自治体を示しています。
| 順位 | 自治体名 | 総合スコア | 全国順位 | 人口 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 市川市 | 78.3点 | 全国110位 | 496,676人 |
| 2位 | 木更津市 | 71.9点 | 全国229位 | 136,166人 |
| 3位 | 成田市 | 71.4点 | 全国240位 | 132,906人 |
| 4位 | 市原市 | 70.4点 | 全国279位 | 269,524人 |
| 5位 | 松戸市 | 70.1点 | 全国285位 | 498,232人 |
市川市は県内で圧倒的にリードしており、78.3点で全国110位にランクインしています。DX推進体制100.0点、AI/RPA/テレワーク100.0点という高い達成度を実現し、32手続オンライン化でも63.0点と全国平均33.2点の2倍近い実績を上げています。人口約49万人の規模を活かしながら、組織的なDX体制整備と技術導入を積極的に進めています。
木更津市は71.9点で2位となり、特にAI/RPA/テレワークで100.0点を達成し、オンライン利用率56.6点と県内でも高い水準を実現しています。人口13万人規模ながら、効率的なDX投資により高いパフォーマンスを発揮しています。
成田市は国際空港を擁する地域特性もあり、71.4点のスコアを獲得。オンライン利用率58.6点と利用者側の満足度が高く、32手続オンライン化でも65.0点と実用的なサービス展開が進んでいます。
市原市と松戸市は、いずれも大規模自治体として70点を超えるスコアを獲得しています。特に市原市はAI/RPA/テレワーク100.0点、松戸市はDX推進体制85.7点と組織的な推進体制が強化されています。
DX推進が課題の自治体と直面する課題
一方、県内でDX推進が遅れている自治体の状況は深刻です。最低スコアを記録する自治体では、組織的なDX基盤の整備が十分でない傾向が明らかになっています。
長柄町(30.7点、全国1570位)は、DX推進体制0.0点、AI/RPA/テレワーク0.0点という極めて低い状況にあります。人口6,700人規模の小規模自治体であり、DX専任部門の設置や技術導入へのリソース配分が課題となっています。一方、マイナンバーカード普及率は79.6点と地域住民の協力度は高く、オンライン利用率62.0点と利用環境があれば使用する準備はある状況が見て取れます。
神崎町(34.1点、全国1485位)と匝瑳市(35.4点、全国1447位)も同様に、AI/RPA/テレワークで0.0点という状況にあります。これらの地域では、自動化技術の導入や働き方改革の基盤が整っていないことが明らかです。
人口が少ない自治体では、DX専任部門の設置が困難であり、既存職員の業務負荷が高くなる傾向があります。AI/RPA等の高度な技術導入も、導入コストと効果のバランスが取りづらい状況が課題です。
考察:千葉県内のDX格差が生じる背景
千葉県内で47.6点という大きなDX格差が生じている理由は、複合的な要因があります。
第一に、自治体規模による影響が大きいということです。TOP5に位置する市川市、松戸市、市原市など、人口25万人以上の大規模自治体では、DX専任部門を設置し、一定の予算を確保できる傾向があります。これに対し、人口5,000~7,000人規模の町では、そもそも専任スタッフの配置が困難であり、DX推進そのものが後景化しやすいのです。
第二に、地域産業構造とDX導入意欲の関連性が指摘できます。成田市やその周辺自治体では、成田国際空港という国際物流拠点の存在により、デジタル化への社会的ニーズが高く、それが自治体のDX推進を加速させています。木更津市も製造業の集積地であり、企業側のDX需要が地域全体のデジタル化を後押しする構造があります。
第三に、マイナンバーカード普及率に顕著な差がない点に注目する必要があります。県内平均81.3点であり、最も低い長柄町でも79.6点です。これは、マイナンバーカードの普及が国の施策主導で進められているためです。しかし、AI/RPA/テレワークでは、最高100.0点と最低0.0点という極端な差が生じており、これが全体の格差を拡大させる主要因になっています。
また、32手続オンライン化の進捗度合いにも大きな違いがあります。市川市63.0点、成田市65.0点に対し、神崎町21.0点と約3倍の差があります。これは、複数の要因から構成されています。まず、オンライン化対応システムの導入コスト、次に既存業務プロセスの見直しの難しさ、そして住民からのニーズの大小があります。
まとめと今後の展望
千葉県のDX推進は、全国平均水準を維持しているものの、大規模自治体と小規模自治体の間に顕著な格差が存在する状況にあります。市川市などのトップランナーが示す78.3点のレベルに引き上げるには、県全体での支援体制強化が必要です。
特に、AI/RPA/テレワーク、32手続オンライン化の2分野では、県内全体での底上げが急務となっています。小規模自治体向けの財政支援制度の拡充、広域連携による共同システム整備、人材育成プログラムの充実などが重要な施策となるでしょう。
県内54の全市区町村の詳細なDXスコアと特徴については、千葉県内市区町村DXスコア一覧ページで確認できます。各自治体の具体的な取り組み内容や課題、今後の改善予定なども掲載されていますので、参考にしてください。
※本記事のデータは、総務省令和6年度調査(地域スコア集計)に基づいています。